最近は大学の行き帰りにダウンを着なくても「寒い」と感じることは少なくなった
むしろ日中はアウターなんて着なくても平気なくらい暖かい
もう3月も終わる
それと同時に平成28年度も終わる
いつも通っている道だったり、大学構内ではモモの花や桜の花が咲いており
冬が終わり春の訪れを告げてくれている
春は始まりの季節であると同時に終わりの季節でもある
小学生のころは永遠に感じられた1年間も
中学、高校と年を取るにつれて、どんどん短くなり
大学に入ってからは、だらだらと時間を浪費していたため、もっと時間が過ぎるのが早くなった
修士課程最後の年である今年も長いようであっという間の1年だった
今年度はいろいろなことがあった
研究能力は高くないし、研究実績もほとんどないものの、博士後期課程に進学することに決め
将来は、自分の意志を持って、自己をきちんと賭けられるような研究がしたい、社会に何か功績を残すことができる研究者になりたいと誓って就職活動を打ち切った春
ドクターに進むことになって、先生方の要求する水準が高くなり四苦八苦しながら、今まで以上に力を入れて研究していた夏
今まで成果が出ていなかったため、参加できていなかった学会に3年間で初めて参加し、ようやく研究生活をやっていくんだ、と実感した秋
中間報告、修士論文が迫ってきて
本当に自分はドクターに進学していいんだろうか、やっていけるんだろうか?と
不安に押しつぶされそうになった冬
なんとか修士論文発表を終え、ほっと一息ついたと思ったら
落ちた学術振興会の申請書だったり、自分の研究成果を初めてのファーストオーサーで論文にすることが決まったり、卒業する後輩の研究テーマを引き継いで今後のサブテーマにすることが決まったり…
そんなこんなしていたら、年明けから3か月が過ぎようとしている
もう1年の4分の1が終わったと考えると、時の早さに笑いがこみあげてくる
それだけ時間が経ったから、僕自身だけじゃなくて、僕を取り巻く環境も大きく変化している
僕が研究室に配属されたときにいた偉大なドクターの先輩も就職し
一緒に研究室に配属された同期も就職したし研究室にはもう来ない
後輩も就活の書類を書いたり、企業説明会に出席したりと忙しそうだ
そして、新しく4年生が研究室に配属された
4年生は僕のことをドクターになる先輩だと、研究を頑張っていて博識な先輩だと
そういう目で見てくる
僕の中では、まだまだ若輩者で知識なんててんで持ってない、微妙な学生気分でいたのだが、そういうちゃらんぽらんな態度でいるわけにもいかなくなった
(ドクターに行くんだから当たり前と言えば、当たり前なのだが)
そういう純粋無垢な4年生の視線を浴びていると、自分は最高学年として、ドクターとして、もっとしっかりしなければいけない、と身の引き締まる思いがした
今まで僕は困ったことがあったらドクターの先輩に頼っていた
今度は自分が頼られる立場なのだ
甘えたことは言ってられない
ふと、自分が研究室に配属されたときのドクターの先輩のことを思いだした
自分はあのときの先輩よりも優れているだろうか?
悲しい現実だが現時点ではかなり劣っているだろう
そして、後輩にも能力としては劣っているだろう
しかし、そこで立ち止まっていてはいけないだろうな、と思う
自分で決めた進路なのだから、精一杯努力していかないといけない
自分への甘さは克服できるかはわからないが、やるしかない
そうぼんやりと考えながら、自転車をこいで帰路についた
空は微笑み、春風がそっとほほを撫でた、そんな1日だった