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ポンコツ博士課程の院生が思ったことをそのまま書くブログ

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ヌメ革がエイジングされて色が変わる理由が書かれた論文探し

革製品と言えば「ヌメ革」が最も有名である

このヌメ革とは植物の渋に含まれるタンニンを使って、牛の皮を鞣し特に表面加工とかをしていない自然な革のことです

使い込むことで生成りの色から飴色、最終的には濃い茶色へと変化し、使い方や手入れの仕方によって色の変化が異なるため、自分だけの歴史を刻むことができます

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写真は自分が使用しているヌメ革の財布です
オイルを少し塗っているので、若干生成りから飴色に変化しています

 

この色の経年変化をエイジングと呼び、こだわって日焼けをさせたりオイルを塗ったりと色々手入れをしている人も多いようです

 

さてこのエイジングがなぜ起こるかですが、いろいろとネットを駆使して調べたところ、鞣しに使用するタンニンが酸化されることで生じるということがわかりました

 

ですが、タンニンがどう変化して、なぜ飴色に変化するのか、ということまで書かれたサイトを見つけることができなかったので、大学院生という立場をフル活用して、エイジングの要因を調べている論文を探していこう、というのが今回の記事の趣旨になります

 

調べた順にメモ書きをしているので、論理とか時系列とかはぐちゃぐちゃです

 

そもそもタンニンとは

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タンニン - Wikipedia

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Tannin - Wikipedia

ともに2019年2月19日のwikipediaのスクショである

 

完全に勘違いしていたんですが

そもそもタンニンとは化合物の総称であって、特定の分子を指すわけではないらしいです

てっきりタンニン酸のことを指すのだと思っていました

そもそもtanninの語源がtan(鞣す)のようなので、使用例ありきの名前がついていたのですね…

ポリフェノール類の総称というだけなので、なめしに使用されている「タンニン」は植物から抽出された複数の成分の混合物ということなのでしょう

 

タンニンを使って革を鞣す理由は

タンニンが皮のタンパク質やコラーゲンに結合することや皮繊維の間に沈着することにより、皮に防腐性、耐熱性、耐薬品性が付与され、また柔らかく使い易くもなるからです

http://www.nodai.ac.jp/journal/nakanishi/0906.html

とのことです

 

また古い記述だけど、タンニンと革の結合状態は複雑で特定するのは難しいようですね

植物タンニンとコラーゲンとの結合機構について(その1)

 ひょっとしたらこの論文が出てから50年経っているので、最新のジャーナルでは解明されているのかもしれないですが

 

 

上の二つの記述を見ると、タンニンは革の表面及び内部に存在し、革を構成するコラーゲンと結合をすることで、革全体の特性を変えているようです

 

革内部に浸透しているタンニンが変質することで、革全体の色が変化あしているのでしょう

 

 

ヌメ革の色が変化するメカニズム

 ここからはネットを駆使して調べたヌメ革の色の変化のメカニズムについてメモをしていこうと思います

 

Google booksで引っかかった「Tanning Chemistry: The Science of Leather」の16.10.2のVegetable Tanned leatherの項目を読むと、前後の文脈的におそらく染色の方法について書かれていると思われるのですが、最後の項目に

「加水分解性タンニンで見られるような漂白が時にはあるけども、植物性ポリフェノール、特に縮合型タンニンは光からのダメージを受けやすいため赤くなりやすい」

という記述がある

 

どうやら鍵を握るのは縮合型ポリフェノールの酸化挙動のようである

ただし、タンニンの成分の多くは、加水分解型と縮合型両方の性質を示すことがあるようで、光による分解と加水分解の両方が効いているのかもしれない[ソースなし]

 

"The Chemical Degradation of Leather" R. Larsen, Chimia 62 (2008) 899–902.では冒頭のアブストにも書いてあるように、革の劣化は大気中の汚染物質、熱および光などの環境要因による酸加水分解および酸化によって引き起こされる

エイジングがタンニンの酸化による革の劣化だと定義すると妥当な説明であるように思われる

 

この論文自体は革の劣化を収縮温度を測ってモニターするのが目的のようなので、なぜ色の変化が生じるのかという記載はなかった

 

 

加水分解型タンニンは黄色、縮合型タンニンは赤色になるらしい[ネットに落ちてたpdfより]ので、両方の影響で色の変化が起きているのかもしれない

 

 

と、ここまで自力で調べていると

ほぼ核心に迫った記述をしている日本語のサイトを発見した

暁工房雑21

 下の図は「タンニンとは」で紹介したワットルタンニンの推定構造ですが、
このタンニンに紫外線があたると、図の矢印で記した部分のOH基が酸化して構造が変化します。
ところがこの部分のOH基は、
それがくっ付いているベンゼン環(六角形の部分)と合わさって発色に対して重要な働きをしている部分なので、
紫外線によってOH基が酸化して他の物がくっ付いたり、
ベンゼン環が壊れてしまったりすることで色が変わってしまうわけです。
また、このOH基の酸化のされやすさは、
他のOH基の数やそれらがくっ付いている場所によっても変わってきます。
[ Williams-Wynn,D.A.:“Modern Application of Mimosa Extract”,LIRI,South A.(1965) ]

 Williams-Wynn,D.A.:“Modern Application of Mimosa Extract”,LIRI,South A.(1965) 

この論文を見つけられなかったので(学会っぽい)、実際の記述は不明だが上記のサイトの説明に間違いはないと思う

 

タンニンの酸化について普通に化学的に考えればわかったことなのに、なぜ自分で思い至らなかったのか…

 

色素関係の知識は皆無なのだけど、昔院試で勉強した時に発色団とかあったし、そういうことなんだと思う

 

結局、上の化合物以外にも「タンニン」はあるだろうし、どういう化合物がどう変化するのか、までは特定できなかった

 

しかし、疑問の根本の大部分が解消されてしまったので、まとまりはないけどいったん記事を終えることにする

 

いくつか論文を読んだけど、自力で核心に迫れなかったのは非常に悔しい…