私はプレゼンを作成するのが非常に下手である
卒論発表のスライドを今振り返ると、とても見れたものじゃない粗末なパワーポイントが転がっている
その後、いろんなプレゼンを研究しまくった結果
「センスがない人は余計なことをするべきでない」
という結論に達した
おかげで最近はプレゼンをある種、機械作業的に作ることができている
これはプレゼンを作成するのが苦手で、かつそんなにやる気がない人のためのギリギリ平均点を超えるクオリティのプレゼン作成指南書である
筆者は化学の合成系の研究に分類されるので、数理系とか物性系なんかはフォーマットが全く違うかもしれない
ご了承ください
1.とりあえず体裁を整える
まず発表の体裁を整えるためにパワーポイントの設定から入る
上のタブのデザイン→スライドのサイズを押して、スライドを4:3にしよう
ワイドはスクリーンが小さいとはみ出る可能性があるので、極力使うのは避けるべきだと思う
次に表示→スライドマスターを押して、スライドの基本デザインを一括に設定してしまおう
基本的にいじるのはタイトルだけ表示されているスライド↓
デザイン自体は正直、好きにしたらいいと思うけども、あまり華美すぎると聴衆の気が散ると考えているので、おすすめは画像のようなデザイン
手順としては以下のとおりである
- タイトルテキストボックスをスライドの幅いっぱいに引き伸ばす
- 次に横棒を好きな太さ・色でタイトルの下に引く(画像ではとりあえず黒にした)
- 右下の<#>をタイトルの横に持っていき、文字色を黒にする
この<#>はそのスライドの番号を勝手に表示してくれるもの。<#>/20のように後ろに全体の枚数をつけておくと聴衆に対して親切なので、無用なストレスを与えずに済む - タイトルと<#>の文字の大きさをいい感じに揃える
- スライドマスタータブ→フォントでフォントの設定をする
最近のパワーポイントだと游ゴシックがデフォルトになっているが、プレゼン用のフォントとしては細めなためおすすめできない
日本語は無難にMSPゴシック、メイリオ、游ゴシックMediumなどがおすすめ
(画像は個人的にMSPゴシックとメイリオが嫌いなため、游ゴシックMediumを使用した)
英語はArialにしておけば間違いがない - マスター表示を閉じ、挿入→ヘッダーとフッターを押し、スライド番号とタイトルスライドに表示しないにチェックを入れる
- デザイン→スライドのサイズ→ユーザー設定のスライドのサイズからスライド開始番号を0にする
これによって、2枚目のスライド番号が1にすることができる
大変長い道のりだったけど、これで基本のスライドデザインの設定は終了である
2.結論を作る
まず初めに手持ちの実験データから言える結論をリストアップしよう
この際、どういう目的・テーマでその研究を始めたか、というのはいったん忘れてしまうのが良い
データから導ける結論を箇条書きで書き上げ、話が繋がるように並び替える
場合によっては結論のいくつかを削る必要があるかもしれないが、「インパクトがある」ことと「全体として話がつながる」ことを基準に結論を選ぶと楽だと思う
結論のスライドはこんな感じ
結論は箇条書きで文章で書いたほうが良い
だいたいスペースが余るので、謝辞を入れておけば空白を有効活用できる
ご清聴ありがとうございましたは書かない
基本的に発表が終わった後は、常にこの画面を表示し続けたほうが良い
3.実験結果を貼る
次は実験結果のスライドを作る
昔はここが一番面倒だったのだが、自分の中でスライドのルールを決めなおすことで、あまり時間はかからなくなった
実験結果のスライドの方針としては
可能な限りシンプルにする
ということを念頭に入れて作りたい
したがって、アニメーション機能を使うことはない
アニメーション機能はプレゼンが上手い人が使えば、内容がより印象に残るものになるが、下手な人が使うと逆効果なためである
もう1つ気を付けておくべきこととして
口頭で説明しないことはスライドに書かない
というものがある
自分自身やりがちであったのだが、親切心で補足データ的な感覚で図や表、説明文を書いたりしていたが、これは聴衆側の視点がばらけて、発表から意識がそれるだけで全く意味がないどころか悪影響しかない
以上のことを踏まえて、自分が導き出したスライドの暫定解デザインはこうなった
タイトル・図・結論の3つからなる超シンプルスライドである
余計な文章や補足もアニメーションも一切使わず、自分が見せたい実験結果だけを淡々と説明するスタイルが一番いいと思う
あ、タイトルは「実験結果」って書いてあるけど、作るときはちゃんと何を調べてるのか伝わるようなスライドにしてね
場合によっては図の周りに説明を入れても良いが、基本のデザインとしてはこんな感じ
この結論は最初に作った結論と同じ内容で良い
これで大丈夫なのか・時間が余ったりしないのかと思う人も多いだろうが
どういう実験を・どういう目的で・どういう方法で行ったか
この図はどういう風に見ればよくて、それぞれのデータはどうなっていて、そこから何を読み取ることができるか
そして、何が新しくわかったのか→結論
というステップを全部丁寧に説明していると、意外と時間がかかるので、逆にこれだけしか載せられないということ
だからこそ、どの実験結果を載せるのかは慎重に選んだほうが良いかもしれない
ちなみに図を2枚載せる場合はこんな感じで作っている
4.実験方法は適当に
実験方法のスライドに関しては割と適当で大丈夫なので、あまりアドバイスをすることはない
とりあえず何をしたか伝わればいいし、ここに関しては適当でも伝わることのほうが多いためだ
横向きで実験の流れを示してもいいし、縦向きのフローチャートみたいなやつでもいい
ここの部分に関しては研究室の先輩のスライドがどうなっているかを真似するほうが早い
自分は下の2枚のどっちかみたいな感じで作ることが多い
5.シンプルなイントロを悩んで作る
プレゼン発表で一番頑張らないといけないのが、イントロである
ここが上手く伝わらないと、研究の意義が伝わらず後の発表の印象が悪くなってしまう
イントロの枚数は15分以内なら3~4枚くらいに抑えておく
イントロの構成内容としては
1.何か大きな問題
2.既存の研究と問題点
3.自分の研究の発想・アプローチ
4.今回の研究目的と実際にやったこと
で作ると経験上、割とすっきり作ることができている
1枚目は自分は工学系なので、何か社会で技術的に困っていることから入ることが多い
例えば、電池の容量・触媒活性・発電効率とかそういう応用関連での課題を挙げる
2枚目はそれに対する先行研究の説明と現状の課題を簡潔にまとめる
3枚目ではそれに対して、自分の研究がどういう発想・アプローチであって、どう課題を解決できうるか、ということを説明する
4枚目は今回の発表ではどのあたりまで研究をどういう目的で行ったかをまとめる
イントロの内容は研究内容によりけりなので、スライド例をうまいこと出せません
ここは研究室の先輩のスライドを参考にしつつ、できるだけ自分で内容を整理して作成できるよう頑張るしかない
6.発表練習のetc
発表練習をする前に、1度発表原稿を作ろう
原稿を作成することで、そのスライドで何を発表するのかということを再確認できる
初めのうちは原稿を読みながら練習を行い、慣れてきたら原稿を見ずに口頭発表の練習をしていく
そうすると自然と内容が出る場所と出ない場所があるので、出てこない部分を重点的に覚えていくことができる
時間の目安としては制限時間を30秒残すくらいで練習しておくとよい
もし本番でオーバーしそうになったら結論のスライドを読まなければ、時間を短縮できる
とにもかくにも、発表練習は何度も練習するしかない
7.参考図書
プレゼンを作成するにあたってかなり使えた本を紹介しておく
伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
プレゼン発表のためのデザインがまとめられている本
フォントやサイズ、図の載せ方などの気を付けるべきことなどが丁寧にまとめられている
見やすいデザインのスライドのテクニカルな部分の基礎的なことが体系的にまとめられているので、基本的にはこの本の丸パクリでOK
研究発表のためのスライドデザイン
どういう心構えでスライドを作成しないといけないのか、などスライドの作り方の考え方がまとめられている
自分のスライド作成手法はこの本に大きく影響を受けていると思う
プレゼン発表の心構えに関する本
そもそもプレゼンをするってこういうことだよねって再認識できる
パワーポイントが最新鋭の発表手段で、OHPとか使って発表していた時代の文章だけど、聴衆の興味を惹くように作るべし、という心構えは今でも普遍の思想だなあとは思う
他にもノンデザイナーズデザインブック
とか
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
とか色々読んだんだけど
結局は
聴衆にストレスを与えず、内容に興味を惹かせて、話に集中させる
ということを意識できれば、なんでもいいのかなとは思う
フォント、文字の大きさ、端を揃える、とかは見た目に美しいということもあるけど
聴衆に変なところで集中力をそがれないようにするための小手先のテクニックだと思うしね
これは自分に置き換えてみるとわかるけど、話を聞いていて途中で理解できない部分があると、途端に興味を失うことがあると思う
だから、全員が余計なことを考えず、自分の説明に集中させないといけないし、
そのためには余分な図や文字を削って、皆が同じ場所を見ている状態を作り上げるようにしないといけないわけ
慣れの部分も多いし、エンタメ性と正確性と学術的なレベルの高さを全て満たすのは
自分でもまだうまくできないけど、その辺はプレゼンがうまいなーと思った研究者に聞くなり真似をするなりして、自分流に取り入れていくしかないなと思う今日この頃
終わり
その他のプレゼンに関する記事はこっち
昔、書いたおすすめできないプレゼンの作り方